essay
クリスマスイブに思うこと
今日はクリスマスイブ。
今年のクリスマスも、新型コロナウィルスの影響で
ご家族や友人と過ごせないという方もいらっしゃると思います。
どんな状況下であっても、互いを、そして誰かを思いやる気持ちがあれば
きっと素敵なクリスマスになると思います。
サンタクロースの起源とされる聖ニコライは、貧しさに苦しんでいる家族がいると、夜中にこっそり施しをしました。
ここにクリスマスやサンタクロースの本来の精神が宿っています。
クリスマスは、なにかを求める日ではなく、誰かの為になにができるかを考える日。
「奉仕」や「思いやり」が前提にあり、家族や友達やまわりの人の存在にあらためて感謝する日であってほしい。
どうか、やさしさに溢れるクリスマスになりますように。
日本の映画『ALWAYS 三丁目の夕日』より、私の大好きなクリスマスのエピソードを。
売れない貧乏小説家の茶川竜之介(ちゃがわりゅうのすけ)に、紆余曲折あって引き取られた少年・淳之介(じゅんのすけ)。
クリスマスが近づいてきたある日、茶川は淳之介に「サンタクロースからどんなプレゼントが欲しいんだ?」と聞かれ、淳之介は「僕は、いいんです。」と答えます。
茶川が「どうしてだ?」と聞くと、淳之介は「僕のところに、サンタクロース、来たことありませんから…」と言います。
それを聞いて、茶川は淳之介のために奔走します。
お金がないので、なんとか工面し、こっそり小説を書いている淳之介のために万年筆を買い、近所の診療所の先生にサンタクロース役を頼んで、そしてクリスマスイブの夜が来ます。
その日、玄関で何やら物音を聞いた淳之介。
すると、プレゼントが置いてあります。
淳之介は慌てて戸を開け外に出ると、雪がゆっくり舞い降りる中、サンタクロースがこちらを向いて手を振り、「メリークリスマス!」と言って去って行きます。
淳之介は目を輝かせながら、「僕のところにもサンタクロースが来ました!」と茶川に伝えます。
包みを開けると、淳之介がずっと欲しかった万年筆が。
「どうして僕の欲しいものがわかったんだろう…」と不思議そうに話す淳之介。
茶川はこう答えます。
「それは、サンタクロースだからだろう?」
世界中の子供たちや、かつて子供だった皆さまにとって
クリスマスという日が、思いやりや浪漫、夢にあふれた一日になりますように。
Merry Christmas!!
旧友の訪問
時々、旧友が店を訪ねてきてくれる。
私の学生時代は少し複雑で、中高一貫の女子校に通っていたけれど、
高校の途中で自主退学し道立の高校へ転校という選択をした。
とても大きな女子校で、私は特に目立つ人間でもなく、学校をやめた自分を記憶に留めておいてくれる人など殆どいないだろう、そう思っていた。
心の片隅にあるはずの中高時代の記憶も、時とともに遠くへと。
とにかく今をしっかり生きることに全力投球の日々で、その頃の記憶に自分から会いに行くことはほとんどない。
話は戻り、
時々、旧友が店を訪ねて来てくれる。
店の扉が開き、チリンとドアベルの音が止むと同時に、かつて呼ばれていた懐かしい呼び名を耳にした瞬間、
心のどこか遠くへと行ってしまった自分もまた、この店に駆けてくる。
驚きと懐かしさと喜びに満ちた、束の間のひととき。
特に会う約束をしたわけでもなく、私がここにいることを知り、ふらりと訪ねてきてくれる。
彼女らもまた、あの頃の自分を連れて。
旧友が訪ねてくれた日は、
あの頃の自分と今の自分が店に立つ。
覚えていてくれてありがとう、そんな気持ちが溢れ出る。
店というものは、過去と今と未来を結ぶ場所なのかもしれない。