essay / 湖畔の思索日誌
小さな町の民主主義
ご存知だろうか。
洞爺湖町議会の議員定数が削減の方向に舵をきっている。
「削減」と聞くと、一見良い響きに感じるかもしれない。税金の削減になるならいいじゃないか。成り手もそんなにいないんだからいいじゃないか。そんな声もあるのだろう。
始まりは議員定数削減の陳情書だったというのだから。
では、議員とは何か。
多くの人は、町長が町を動かしていると思うかもしれないけれど、日本の地方自治は町長だけで成り立っているわけではない。
首長(町長)と議会議員の双方を住民が直接選ぶ「二元代表制」が採用されている。
つまり、
●町長も町民が選ぶ
●議員も町民が選ぶ
という二つの代表が存在し、町政を互いに注意深く監視しながら進める仕組みだ。
この二元代表制を正しく機能させるには、議会が単なる追認機関にならないことが重要になる。また反対も然り。
・この予算は本当に妥当か
・他の選択肢はないか
・将来世代や自然環境への影響はどうか
などを議論し、必要に応じて修正や反対をすることも大事な役割だ。
異なる意見が存在することは、対立ではなく健全な民主主義の証であるし、
何よりも議会には、多様な背景を持つ議員の存在が必要だ。
もし議会が特定の業界や団体の代表だけで構成されれば、議論の幅は一気に狭まる。
町には、
・農林水産業
・土木・建設業
・観光業
・商工業
という分野だけでなく、
・子どもと子育て世代
・学生や若者
・働く現役世代
・障害を持つ人やその家族
・介護が必要な人やその家族
・高齢者
・移住者
・教育関係者
・医療関係者
・環境保護や保全に関わる人
など、多様な立場の人が存在する。
議会にもその多様性が反映されることが望ましい。
二元代表制は、多様な人が立候補できて初めて機能する。
ところが、
・時間的負担
・経済的負担
・組織票の有無
などによって、立候補できる人が限られてしまうのは、全国どの市町村においても大きな課題だ。
議会の多様性を維持するためには、「誰でも挑戦できる環境」が重要だ。
その根本的な問題に取り組むこともせずに、そしてパブリックコメントも実施せずに、「議員定数削減」を議会承認のみで進めようとしている現在の町議会は、二元代表制が本当に機能していると言えるのだろうか。
私は、定数削減に反対する議員さんが持ってきてくれた『洞爺湖町議会議員現行定数12人の堅持を求める請願』に、自分の意思で署名をした。
そしてその行末を見届けに、洞爺湖町議会を傍聴しに行った。
結果、賛成3名、反対8名。よって不採択。
つまりその日出席していた議員11名のうち、8名は定数削減に賛成したという結果だった。
不採択の理由としては、先に出ている定数削減の陳情書が採択されたので、という理由にもならない理由で残念でならない。
ここから更に注視したいのは、「議会費」も削減されるのかどうかだ。
削減の名目で議員定数を減らすのであれば、当然議会費も削減されるのであろうと思っている。
しかし、もし議会費の予算が削減前と変わらず、なんていうことがあれば、しっかり追求したい。
二元代表制の主役は町長でも議員でもない。
本来の主役は町民だ。
町長も議員も、住民から権限を預かっている存在だからこそ、
「何をしているかわからない議会」
ではなく、
「町民がどんな町政を望むのかを中心に置く議会」
であってほしいし、
町民も町政に目を向け、「これ、なんかおかしくない?」と感じた時に目をつぶらず、訴え続けることが必要だ。
この小さな町の民主主義は、どうなっていくのだろう。
その運命は、投票権を持つ町民が握る。
投票権を持たない人たちの分まで、しっかりと考えていかなければならない。
来年は統一地方選がある。
洞爺湖町議会議員選挙、新しい風がたくさん吹くといい。
議員定数を減らしたことを後悔するくらい、たくさんの多様な候補者が立てる町になってほしい。
そして見極めたい。
この人は、「選挙の時だけ議員さん」なのか「議会の意味と社会の未来を考えている議員さん」なのか。
「大きな権力を大事にする人」なのか「小さな権利を大切にする人」なのか。
地方議会は、国の縮図だ。
しかし地方自治に希望を持てるとするならば、二元代表制であることと、分母が小さいからこそ変えられることもある、ということだ。
自治体独自の取り組みで、モデル事例を作り上げることだって可能なのだ。
というわけで、議会傍聴を楽しみつつ、町民ジャーナリズムを始動しようと思う。
今後も町政から目を離さず、関心を寄せてもらえるきっかけを町民目線で構築していきたい。
※ご興味があればぜひ「能登デモクラシー」というドキュメンタリー映画を観ていただきたい。穴水町の町議会がテーマになっている。
合わせて、富山市議会に焦点を当てた「はりぼて」、杉並区長選を取り上げた「○月○日、区長になる女」もぜひ観てほしい。
