旅先で必ず買うものがある。
それは、訪れたその土地で作られている石鹸だ。
帰宅しても、すぐには使わない。
今使っているのは、一年前にパリの石鹸屋さんで求めたものだ。
毎朝寝ぼけた顔をぬらし、石鹸を手に取り泡立て、その両手で顔を包むたびに
アプリコットの香りと、あのときの旅の情景に満たされる。
石鹸がとけてきえるまで旅の余韻はつづき、
石鹸がとけてきえるころ、次の余韻がまたはじまる。
いつかの朝は、インドのターメリックとハーブの香りに満たされているのだろう。