essay / 湖畔の思索日誌

2025-09-27 11:48:00

夕刻の虹

 

日の入りが少しずつ早くなり、仕事を終えて車に乗り自宅へと向かう時間がちょうど夕暮れと重なる。

昨日の夕空はオレンジとパープルとピンクを混ぜたような明るみを帯びた色で、

すでに暮れた遠くの薄暗い空との対比と、所々に射す黄金色の光が何とも美しく、こういう日の帰路は特にゆっくりと車を走らせたくなる。

カーブを曲がったその時、ただでさえ美しいその空に虹が架かっていた。

思わず声が出た。あぁ…きれいだなぁ…。

後続車やすれ違った車のドライバー、そして同じ時刻に空を見上げたすべての人が、きっと同じ気持ちだっただろう。

次のカーブを曲がった時には、もう消えていた。

自然のもたらす力は偉大で平等だ。この夕刻のたった一瞬で多くの心を癒やすのだから。

人間など、到底足元にも及ばぬことを自覚する瞬間でもある。

そして及ばぬながらも、本質的に良いと思える生き方を私は選びたい。

忖度なく誰もが美しいと感じた、あの夕刻の虹のように。