essay / 湖畔の思索日誌
2025-08-11 12:05:00
1000万の10倍
子どもが夏休みの宿題でつまずいていた。
算数で、大きな数をもとめるものだった。
「1000万の10倍なんてわかんないよ!」と彼は半泣きで叫ぶ。
位を覚えるのが学習の目的なのだろうけど、億という数字は小3にはまったく身近ではないし
大人にとっても日常生活とはかけ離れたかなり大きな数字だ。
実体験が伴わないことを紙上でイメージするのはとても難しい。大人だってそうなのだから、子どもはなおさら。
苦手意識の蓄積は、勉強嫌いにつながっていく。可能性が芽生える前に、好奇心の窓が閉ざされてしまってはもったいない。
今目の前で叫んでいる少年のために、私は何ができるだろうか。
小3と一億をつなげるには、夢と浪漫、そして……
電卓だ…!!!
少年はその小さな指で、10000000×10と打ち込んだ。
100000000という数のゼロの多さに、彼は目を輝かせていた。
いちおくって、こんなにゼロがあるんだねと感動していた。
今日のところは、これで良しとしよう。
●余談●
先日息子と一緒に小樽を訪れた際に、旧日銀の小樽支店に立ち寄った。
そこで「一億円の重さ」を体験できるコーナーがあって、ずっしりと重く感動した。
私たち親子と一億が、初めて結びついた瞬間だった。