essay / 湖畔の思索日誌
Our Open Dialogue vol.3 / わたしたちの「選挙」を語る夜
52.05パーセント。
これは、私が住む国・民主主義国家である日本の国政選挙、前回の参院選の投票率(全体)だ。
年代別での高投票率順は、60歳代の65.69%、次いで50歳代の57.33%、70歳代以上の55.72%となっている。
一番投票率が低いのは、20歳代の33.99%、次に10歳代(18歳19歳)の35.42%、そして30歳代の44.80%となっている。
私が当てはまる40歳代は、ちょうど中間の50.76%だった。
総務省のウェブサイトでは、投票率に関するデータが誰でも閲覧できるようになっている。
それは今回初めて知った。見はじめると結構面白い。
投票を棄権した理由についての意識調査も掲載されていて、その中で一番多かったのは、「選挙にあまり関心がなかったから(35%)」だった。
日本の選挙、特に国会議員を決める国政選挙で、これだけ投票率が低い理由も、
多くの若者が選挙にあまり関心がない理由も、その原因を突き詰めれば見えてくるものがある。
そのひとつとして私が思うのは、日常生活の中での語りづらさにあるのでは、と感じている。
私はまわりの多くの大人から「宗教と政治の話はタブー。争いの原因になるからしてはいけない。」と教えられてきた。
「そうなのか~。」とそのまま政治に触れずに大人になり、いきなり「はい!選挙権です!投票に行こう!」と言われても、正直急に興味がわくわけがない。
とりあえず投票には行くけれども、自主的にというよりは、親に行けと言われてしぶしぶ行っていた20代だった。
今でこそ、両親や姉妹、夫とは政治の話は結構するけれど、いざ外に出ると「政治の話」は腫れ物のように扱われ、 依然しにくさがある。
政治は、政治家のお偉いさんたちが自分たちの生きているレイヤーとは違う場所で行っているもの、という感覚で、驚くほど実生活の中での存在感がまるで無い。
それに私たちは日々の生活を回していくことだけで精一杯だ。
働けど働けど、不思議なほど手元に残らない。税金を納めるために、働いているのかと思うほど負担が大きい。
経済格差、教育格差、男女格差、裏金問題、税金の無駄遣い、環境問題、エネルギー問題、差別やヘイトなどはそこら中に存在していて、社会が良くなっている実感は残念ながら無い。
つまり、私たちが「政治」から遠のけば遠のくほど、苦しさも負担も増すばかり。そんな感覚がずっとある。
もしかして私たち、文句も言わずだまってお金(税金)を出し続けるスポンサー(納税者)だと思われているのでは?
税金を払っているわたしたちには、意見をする権利があるはず。
困っていることや大変なことは、訴える権利もあるはず。
政党がどうとか、右が左がどうとか、そんなことは私たちにあまり関係ない。もっと言うと、どうでもよいことだ。
大事なのは、これからの社会がどうなってほしいか、どんな社会で生きていきたいのかをみんなで考えることだ。
それこそが、「選挙」だ。
7月20日に、3年ぶりの参院選がある。
参議院は、衆議院で可決された予算や法案をじっくり審議する場所だ。
税金がちゃんと社会のために使われているのか、この法案で苦しむ人はいないのか、中立で倫理観を持った人が党派を越えて精査をする。
国会議員一人に当てられる税金は、報酬や特権を含めて年間約6000万円以上。(高すぎるが。)任期は6年だ。解散は無い。
国会議員は、私たちの声と向き合い、予算や法案に反映または審議するという役割を担う。
誰を選ぶのか、ものすごく真剣に考える必要がある。
これは、語りにくさの壁を壊し、対立構造を追い払い、純粋に「選挙」と向き合うチャンスかもしれない。
そう思って、『Our Open Dialogue vol.3 / わたしたちの「選挙」を語る夜』を企画し、7月13日の夜に実施した。
とても長い前置きになってしまった。
今回の対話会は、4人で語り合う夜となった。
今まで何となく曖昧でもやもやしていた「選挙」のよくわからない部分を事前に調べ、以下の構成で進行した。
・そもそも国会って何をするの?
・衆議院と参議院ってどう違うの?
・衆院選と参院選の違いは?
・選挙区と比例代表の違いは?
・特定枠ってなに?
・選挙区の候補者を全員見てみよう
・政党別マニフェストと比例代表の候補者を見てみよう
・政党マッチングの使い方
・自分が今回の参院選で大事にしたいポイントを語ってみよう
私自身、今回この対話会を企画したことで、今までよくわかっていなかった部分がクリアになると共に、
衆院選と参院選で投票方法を変えると、より1票が活きる可能性がある、ということも発見できた。
終戦後の投票率や今現在の投票率を見比べて、それぞれの時代背景などに思いを馳せてみたりもした。
自分にとって大事なのは、どの政党を支持するかよりも、
弱い立場に置かれている人たちの声を理解できる人を選ぶことなのだと気づくことができた。
そして差別や分断を助長する人には投票しない。
私はこれを、今回の参院選の指標にしたい。
わたしたちの「選挙」を語る夜。
語りにくさを乗り越えて、集まってくれた今回のメンバーに
心からの敬意と感謝を。
今度、町議会の傍聴にも行ってみようと思う。
まずは自分の住む町の町政に、関心を持つ。ここから始めてみよう。